「幻の丘」
私は丘に駆け上がる
夕日にさよなら云いたくて
だけど待ってはくれなかった
風は見向きもせず通り過ぎ
枯葉も足早に遠ざかる
眼下に広がる灯りの温もりが
なおさら孤独にする
仕方のないこと人間に生まれた宿命だから
別れはいずれ誰にも遣って来る運命だから
過ぎ去った者達が教えてくれたこと
それは出逢えた時のときめき
それは許しあえた心の喜び
それは愛という祝福
私は涙も拭かず立ち続ける
夜空には無限の星々とたった一つの満月
星は次々と流れて地上に降って
月は青白い野山の上で冷たく笑う
流れ星は雪に変り降り積もり
月の笑みは白く凍りつく
月光に映る私の影が聖母の影となり
幻の丘を流れ行く
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