わたしの十字架・・・②
「母さん、もういいよ、自分でするから、子供じゃないんだから」
「何言ってるの、イナ、あなたは私の大切な息子よ!」
「そう言う意味じゃなくて・・・もう大人って意味だよ。どこの母親が二十歳過ぎの息子といっしょに風呂に入ってる? おかしく思われるよ。だいち恥ずかしいよ」
「そうかしら、背中を流してるだけよ、私はいっしょでも全然構わないけど・・・ふふふ」
「勘弁してくれよ、彼女に知れたら困るよ」
「嘘おっしゃい! いもしないくせに」
「いるさ・・・俺、けっこうもてるんだぜ」
スヨンは、お風呂場からもれてくる、母と兄の会話をこれ以上聴くに堪えられず、耳を塞いで二階へ駆け上がっていた。
スヨンは着替えながら思った。
どうして兄は母のすることに甘いんだろう。嫌ならもっと強く拒否すればいいのに、結局いつも母の言いなりになってしまう。優しい性格だからしかたのない面もあるけれど、スヨンは傍から見ていて、いらいらしてしまう。
スヨンは母が嫌いだった。自分が構ってもらえないから、心配してもらえないからではなく、揚げ物と同じように、それは生理的だった。
いつの頃からか、何か不潔で、蛇のような生臭さを連想させるようになっていた。いったい、何時からだったろうか。
つづく
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