« 風の愁思 | トップページ | クリスチャンということ »

2008年5月12日 (月)

わたしの十字架・・・②

「母さん、もういいよ、自分でするから、子供じゃないんだから」

「何言ってるの、イナ、あなたは私の大切な息子よ!」

「そう言う意味じゃなくて・・・もう大人って意味だよ。どこの母親が二十歳過ぎの息子といっしょに風呂に入ってる? おかしく思われるよ。だいち恥ずかしいよ」

「そうかしら、背中を流してるだけよ、私はいっしょでも全然構わないけど・・・ふふふ」

「勘弁してくれよ、彼女に知れたら困るよ」

「嘘おっしゃい! いもしないくせに」

「いるさ・・・俺、けっこうもてるんだぜ」

 スヨンは、お風呂場からもれてくる、母と兄の会話をこれ以上聴くに堪えられず、耳を塞いで二階へ駆け上がっていた。

 スヨンは着替えながら思った。

 どうして兄は母のすることに甘いんだろう。嫌ならもっと強く拒否すればいいのに、結局いつも母の言いなりになってしまう。優しい性格だからしかたのない面もあるけれど、スヨンは傍から見ていて、いらいらしてしまう。

 スヨンは母が嫌いだった。自分が構ってもらえないから、心配してもらえないからではなく、揚げ物と同じように、それは生理的だった。

 いつの頃からか、何か不潔で、蛇のような生臭さを連想させるようになっていた。いったい、何時からだったろうか。

                                       つづく

にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ

小説」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1034720/20906908

この記事へのトラックバック一覧です: わたしの十字架・・・②:

コメント

コメントを書く